伝統工芸品の商品開発・普及促進支援事業

公益財団法人 東京都中小企業振興公社

工房見学 結果報告

工房見学

※平成30年度の工房見学は終了致しました。

当プロジェクトに参加される製作者の方々の工房へ、工房見学に伺いました。
工房によっては複数回ご対応いただくなど、見学先の工房の皆様には多大なご協力を賜り、ありがとうございました。

<実施概要>

実施期間 平成30年5月30日~6月11日(9日間)
見学先の工房 19社
実施回数 52回(累計)
参加デザイナー 167名(累計)

工房見学レポート① 
サトー彫刻 佐藤 岩慶さん

木彫刻は仏教の伝来とともに、6世紀頃に伝わってきたと言われています。
平安~鎌倉時代には仏教の隆盛と共に多くの仏像が造られ、室町時代になると、仏像彫刻の需要は減り、その代わりに建築彫刻が急速に発展しました。

江戸時代には、全国から木彫職人が江戸に集まり、装身具や家具など身の回りの様々なものにも木彫の技術が生かされるようになりました。建築装飾に始まり、祭りで使われる山車や神輿の装飾へ発展する中で、江戸木彫刻の技術は磨かれてきました。

「江戸木彫刻」は、まずどんなものを作るのか構想を練り、下絵を描きます。立体の場合は4面分の下絵を描きます。目的に合った木材(ケヤキ、ヒノキ、クスなど)を選び、木目の方向等に気を配りながら、必要な分量を木材から切り出します。

それからノミや彫刻刀で荒彫りし、次第に中彫り、仕上げ彫りと何十種類もあるノミを使い分け、立体的に細かく仕上げていきます。江戸木彫刻においてはヤスリをかけないで、ノミの切り口によって木の輝きを引き出し、技巧の細かさよりも気品のある仕上がりを大切にしています。


 
佐藤さんは、立体図を四方面の下絵で描き、簡易星取り機で計りながら彫り、図面どおりに仕上げることが出来ます。
伝統の技を守り、伝えると共に、海外でも大切にされるようなものづくりに取り組みたいと話されていました。

工房見学レポート② 
前川表具店 前川 治さん

表具は仏教伝来と共に経典の表装技術として伝わったと考えられています。以後、床の間の発生や茶道の興隆により需要が増え、江戸時代には上流社会の必需品となってきました。

表具をする職人さんを表具師(ひょうぐし)といいますが、経師(きょうじ)といわれる場合もあります。時代を経るにつれて仕事の内容も多様になり、江戸時代には私たちが目にする掛軸、屏風、襖なども扱うようになり、今日では経師(きょうじ)と表具師(ひょうぐし)の区別はなくなってきました。

「江戸表具」の技術は、軸装を主とし、天井・壁・画帖・屏風・襖などの装丁や修復など幅広い技能を要求されます。そしてすべてが依頼主の注文に応じて一点ずつ製作され、伝統的な色目使いを重んじた格調高い取り合わせを基調としています。

材料は各種の和紙、裂地(きれじ)等、水、糊と単純ですが、それだけに細やかな紙の扱いや刷毛さばきには永年の修練が必要で、”水と刷毛による芸術”と呼ばれるゆえんです。

前川さんは、まず第一にお客さんの身になって、どう仕上げたら喜んでいただけるかを考えます。そして掛け軸や額等の場合は、本紙(中身)が主役なのでその雰囲気をいかに出すか、又どうすれば見栄えがよく、上品に出来上がるかをいつも考えて仕上げています。

伝統を保持することは大切ですが、その中でつねに新しさを重ねていくこともまた大切であると信じ、表具の伝統工芸技術を活かした新商品を開発したいと話されていました。

工房見学レポート③
株式会社 高橋工房 高橋 由貴子さん

江戸木版画は、素材・技術・表現のすべてが独自性に富んだ多色摺りの木版画技術で、日本における印刷技術のルーツと言われています。

その技術が確立したのは町人文化が花開いた江戸時代後期で、庶民が日常に使用する新聞や雑誌といった媒体を手工で印刷する役割として、庶民の生活に寄り添いながら発展しました。江戸時代の人々は、浮世絵版画を通して、流行のファッションや旅などの最新情報を手にしていました。

江戸木版画の魅力は、なんといっても多色摺りならではの鮮やかな発色にあります。多いものは20回から30回もの摺りを正確に重ね、独特の鮮やかな色調を表現しています。
紙は越前の紙を使っており、ふっくらとした厚みのある和紙の肌触り、和紙に染み込んだ絵の具の風合いから、優しい温かみを感じることができます。

また、手摺り版画ならではの摺りの痕跡を見ることができるのも、江戸木版画の特徴です。紙を裏返すと、表の絵が紙の裏までうつっており、摺師がバレンを動かした摺り跡を探し、楽しむことができます。

高橋さんは、江戸時代から継承する「摺り」の技術で、絵という平面の作品から立体の作品や商品に仕立て、美術作品としてだけでなく普段の生活でもお使いいただけるような商品を製作したいと話されていました。

工房見学レポート④ 
熊澤 吉治さん

友禅染めは、江戸時代の貞享年間(1684~87年)に、京都の絵師、宮崎友禅斎が創始したといわれています。

江戸時代中期、武家政治の中心として文化や経済がともに栄えた江戸には、「くだりもの」と言われる関西方面からの産物が、たくさん集まってきました。こうした時代の流れにのって大名のおかかえ染師(そめし)等が多く江戸に移り住むようになり、各種の技法が伝えられました。町人が経済の主導権をにぎるようになるとともに、町人文化が発達して、粋やさびといった感覚が一般的になり、模様絵師による手描友禅が発展しました。

東京手描友禅には、大別して糸目友禅、蝋纈染(ろうけつぞめ)、無線描(むせんがき)の3通りの技法があります。いずれも防染技法による染色です。現在は、染上がりに、白い糸のような線が鮮やかに浮き上がる糸目友禅が主流です。

東京手描友禅は、構想図案から、下絵友禅挿し(下絵の文様に色づけすること)、仕上げまでの工程を一人の職人が行うのが特徴です。品のよい単彩で粋な特色を持っており、落ち着いた感じの中にも明るい色調とデザインの新しさを特徴としています。

<参加者の声>

●工房見学で職人さんのお話しを伺うことで、取り組みたい方向性がわかりました。
●工房を見学させていただくと商品となった完成品ばかりでなくその過程の部材も見ることができます。そういった過程のモノ、部品などが大変興味深くデザインのヒントに繋がりました。
●職人さんの伝統技術はもちろん、人間性が垣間見れたことがモチベーションとなりました。
●「どんなことができるのか、できないのか」「特にやりたいことは何か」「現場の雰囲気」など企画提案に重要な情報が得られました。



お問い合わせ先

(公財)東京都中小企業振興公社 城東支社
「東京手仕事」プロジェクト 商品開発事務局
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